WAZAO-IPPONについて

WAZAO-IPPONについて

text: Chiaki Kato

About WAZAO-IPPON

「なんなら釣れなくてもいい。」をテーマに、これからの自然体験のあり方を模索する活動体。日本固有の竹釣り竿「和竿(わざお)」を中心とした和製釣具特化の釣りブランドとして商品展開し、釣りを切り口に現代社会において失われつつある古き良き日本文化を紡ぎます。

竹竿片手にずいぶん遠いところまで来てしまった感がある。経済合理性の無い活動。数えきれないほどにそう言われてきた。もはや褒め言葉だと思えるようになってきている。麻痺してしまったわけでも、自暴自棄でもないと言わせてもらおう。そんな活動にこそ未来へのヒントがあると、今は確信しているからだ。

これは、WAZAO-IPPONの旅の記憶。初めは確かに魚釣りをしていただけだった。魚を追い求める中で日本の水源環境の豊かさを知り、同時に自然や業界を巡る数々の矛盾に直面する。気づけば竹竿を持ち、日本の釣りを探していた。足を運ぶフィールドが日本全土に渡り始めると、次第にローカルに根付く人々の営みが見え始める。釣りを通して自然を知り、文化を知り、初めて日本を知ることができたような気がした。

ここまで来ると、もはや我々は魚を追っているようで追っておらず、竿を売っているようで売っていないのだと、自覚し始める。それでは、WAZAO-IPPONとは。釣りは手段で、和竿は旗。我々日本人が大切ななにかをどこかに置いてきてしまったのだとしたら、それを釣り集めて一本に繋ぎたい。(WAZAO-IPPON談 2024.1.1)

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