【和竿遠征01-A】石垣島ESCAPE

【和竿遠征01-A】石垣島ESCAPE

text: Chiaki Kato

渓流における和竿の相性はおそらく良い。それに関する自信はそれなりについてきたのですが、一方で和竿のルアーフィッシングの限界点はどこにあるのだろうというのも実直に探求したい。和竿のルアーフィッシングチャレンジ釣行記、石垣島編。

大量の和竿デッドストック

実はちょうど先日、和竿のデッドストックを大量に入手することができ、多少乱暴かもしれませんが色々とキャストを試すことができる状況になりました。(和竿や竹が倉庫に大量に余っているよ〜、そういう知り合いがいるよ〜という方、ぜひご連絡ください🙇‍♂️)また、新たに紀州の職人さんに製作していただいたり、江戸和竿の職人さんに譲っていただいた肝いりの和竿が何本かあったのでこれも試さないと。

10〜20グラム程度のルアーをフルキャストしてみたい。これは和竿が歴史上やったことの無い世界。テスト的な意味合いが強いので、ある程度多くサカナと接することができると良いなぁ。そこで、いつも良くしていただいているTULALAのオガケンさん @ogawakentarou にご紹介いただき、ツララファミリーのぐっさん @jrkmysculb 、アイさん @ai1and の営む石垣島のボート釣りに行ってきました。

持っていった和竿は総数20本以上。正直、いつどうやって折れるかわからないと我々も疑っているからです。推定50年以上倉庫に眠っていたシロモノもあれば個体差様々なので、スペックにおいて全幅の信頼なんておけません。我々は盲信しない。大事なのは批判的思考。そもそも万人受けするものではないと思ってますし、あくまでフラットな目線を持ち、その上で和竿の良さを語りたいんです。

石垣島ESCAPE

石垣島に到着。釣り船の名前はESCAPE。ぐっさんアイさんにこんにちは、ふたりとも色黒い。ぐっさんに関しては、黒いだけじゃなくて竹竿の知識がスゴイ。偏見で申し訳ないけれども、タマンロッドを作って石垣で釣り船をやっているような方がこんなにも詳しいとは。。話を伺うと、元々紀州のエリアが出身だそうで子供時代から竹竿や職人仕事に触れ合うことが多かったそう。頼もしすぎる!!

対象魚は主にミーバイ、沖縄の海域には様々な美しいハタ類がいます。2日間にわたる和竿トライアルですが、竿どうこうの前にスキルが足りてない笑 ぐっさんからディスられ、丁寧な可愛がり(レクチャー)を受け、いざ。基本はメタルバイブをフルキャストしてボトム付近に落とす。サカナのアタリがあれば、根に潜られてしまう前にあとはパワー勝負、というような釣りです。ドラグもキツキツ。

使う竿は、
・丸節竹×グラス穂先の江戸和竿、横浜竿系のキス竿 @hitoshi3641091
・布袋竹×グラス穂先の江戸和竿師のシーバスロッド。
・高野竹×貼り合わせ真竹穂先の紀州へら竿師のバスロッド、トラウトロッド。
・布袋竹の福岡和竿工房(くろかわ)さん @kurokawahegan の全竹ロッド
・デッドストックのシャクリ竿各種。

石垣島の海は青く透き通っていて美しい。

石垣島の海は青く透き通っていて美しい。

江戸和竿組合員でありながら、創立60周年(2023年現在)となる横浜皮はぎ釣り研究会会長、大田区伝統工芸発展の会代表理事と、様々な顔を持つ竿師、竿好(SAOYOSHI)さん。2008年より吉田喜三郎氏(横浜マイスター・鶺鴒)に師事し、和竿の中でも海釣り用の「横浜竿」を専門とされています。最近ではトーキョーマハゼの398さんとのコラボ和竿を製作されていたりと、新しいことに常に精力的に取り組まれる様にはリスペクトが止まりません。

竿好 - SAOYOSHI

江戸和竿組合員でありながら、創立60周年(2023年現在)となる横浜皮はぎ釣り研究会会長、大田区伝統工芸発展の会代表理事と、様々な顔を持つ竿師、竿好(SAOYOSHI)さん。2008年より吉田喜三郎氏(横浜マイスター・鶺鴒)に師事し、和竿の中でも海釣り用の「横浜竿」を専門とされています。最近ではトーキョーマハゼの398さんとのコラボ和竿を製作されていたりと、新しいことに常に精力的に取り組まれる様にはリスペクトが止まりません。

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徒弟制度を経た最後の竿師と言われる、江戸和竿組合理事 竿中(SAONAKA)は1959年に千葉で生誕する。1976年に高校を中退し、千葉県松戸市の「竿かづ工房」に入門。25年間の修行を経て、師匠の引退とともに2001年に独立。2021年には江戸和竿組合の理事となり、同年3月には東京都の伝統工芸士にも認定された。本人は「遊び」と言って活動のメインにはしていないが、江戸前の伝統的な和竿の他に、ルアーフィッシング用のロッドやオールドタックルの改造など実験的な製作も行う。竿中の少年時代はバスフィッシングの黎明期、ルアーフィッシングにのめり込んだ経緯から様々な釣りに精通しており、釣りの発展を道具作りの担い手、ファンの立場の両側面から見てきた。これが竿中の柔軟な発想や、製作意欲の源泉である。

竿中 - SAONAKA

徒弟制度を経た最後の竿師と言われる、江戸和竿組合理事 竿中(SAONAKA)は1959年に千葉で生誕する。1976年に高校を中退し、千葉県松戸市の「竿かづ工房」に入門。25年間の修行を経て、師匠の引退とともに2001年に独立。2021年には江戸和竿組合の理事となり、同年3月には東京都の伝統工芸士にも認定された。本人は「遊び」と言って活動のメインにはしていないが、江戸前の伝統的な和竿の他に、ルアーフィッシング用のロッドやオールドタックルの改造など実験的な製作も行う。竿中の少年時代はバスフィッシングの黎明期、ルアーフィッシングにのめり込んだ経緯から様々な釣りに精通しており、釣りの発展を道具作りの担い手、ファンの立場の両側面から見てきた。これが竿中の柔軟な発想や、製作意欲の源泉である。

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フルキャストできる和竿

ぐっさんにも使ってもらい、容赦なく使い倒し、結果、相当数石垣の美しいサカナ達に出会えました。ESCAPEのインスタライブ中に竹刀が割れるかのごとく爽快な音を立てて全竹のロッドが一本折れてしまいましたが、それ以外はなんの問題もなし。感度も良好でフルキャストにも耐えうることがわかりました。これは我々としても想定外。もっとバンバン折れるかと思っていたし、折れるシチュエーションを収集したいという気持ちがあったのですが。竹なので竿の曲がりは当然ながら多少入りますが、火入れをして貰えば問題なし。スゴイぞ和竿。

竹竿のポテンシャルを測るという意味で非常にいい機会となりました。おそらく我々が石垣の船で和竿でルアーフィッシングをした最初の人類なのではないでしょうか。

笑顔が眩しいぐっさんと和竿。

笑顔が眩しいぐっさんと和竿。