How to use

How to use

text: Chiaki Kato(WAZAO-IPPON)

扱いが難しいと思われがちな和竿ですが、基本的にはカーボンやグラスロッドと同じような手順で利用が可能です。一方で、天然素材で作られた商品ならではの特性や、竹の性質を理解していただくことでより一層安全に、和竿の世界を楽しんでいただけます。和竿は竹素材全体のしなりで大きな力を分散することができる一方で、一箇所に集中するような局所的な負荷には弱いという性質があります。このことに留意して以下の手順でセットアップをしていただくことで、破損事故のリスクを減らすことができます。

【準備編】和竿のつなぎ方

1.蓋を開ける。開けた蓋はなくさないように注意しましょう。
2.竿の中身を確認する。

3. 上の細いパーツ(穂先)を取り出す。
4.なるべくつなぎ目(すげ口)に近いところを持ち、穂先から順につなぐ(継ぐ)。
 ※竹の芽が生えていた箇所(節目)が互い違いになるようにしましょう。
5.十分に締まるところまでつなぎ込む。

POINT
・竿の調子を確かめるために、単一のパーツを曲げることは絶対にやめましょう。特に穂先だけを持って曲げる行為は避けましょう。
・つなぎ目部分に砂などのゴミが入ってしまうと不具合に繋がります。なるべく地面などに接しないようにしましょう。

【実釣編】和竿での釣り方

魚をかけたら竹全体に重さを乗せ、竿のしなりを最大限に活かしましょう。力に任せて引っこ抜くようなファイトをせずとも、自然なしなりが魚を落ち着かせ、水面まで浮かせることができます。強い引きがあった場合にも、やはりロッドパワーだけに頼ることをせず、リールのドラグ調整、ラインの開放、ポジションの変更などをして総合戦を心がけましょう。

POINT
・過度なフッキングをしない。また魚がかかった後は竿を立てすぎない。竿先が魚に対して鋭角にならないように気をつけましょう。
・ポンピングは不要。竹竿のしなりで自然に魚を浮かせることができます。
・魚の取り込み・ランディング時は魚と竿の位置関係に注意しましょう。ラインのテンションをゆるめ、魚のとっさの動きに引っ張られないようにしましょう。

【釣行後編】しまい方・メンテナンス・保管方法

竿を仕舞う際は手元から順に外していきます。
1.手元から順に抜いていく。
2.なるべくつなぎ目(すげ口)に近いところを持ち、ねじらず、直線的な力を加え、抜く。
3.布などで全体的に軽く水分を拭き取る。
 ※海で使用した場合には塩分が残らないように湿った布などでしっかりと拭き取りましょう。

POINT
・保管時は直射日光を避け、高温にならないように注意しましょう。漆の劣化や、竹素材の変形などのリスクがあります。
・穂先や穂持などを拭く時は布を往復させず、必ず一方方向に元から先にかけて拭きぬくようにしましょう。
・常温の室内で保管しましょう。アコースティックギターなどと同様、乾燥のし過ぎにも注意しましょう。湿度を一定にするための専用のケースも販売しております。

Q&A

Q: 竿が曲がってしまったのですが、なおりますでしょうか。

A: 曲がりはある程度自然に戻ります。
和竿は釣り方や釣った魚の影響で穂先に曲がりが入る場合があります。ある程度は竹の形状記憶によって元に戻ります。和竿に限らずフライのバンブーロッドでも同様ですが、自然由来のため多少の曲がりは取れない場合がありますが、釣り味に影響はほとんどありません。それでも気になるほどの曲がりが入ってしまった場合は、熟練の職人による火入れ(曲がり矯正)サービスも行っております。 https://wazao-ippon.com/products/maintenance-service

Q:水洗いは可能でしょうか。
A:水洗いは可能ですが、注意点がございます。
特に海水などがついた場合は水洗いをしましょう。水に漬け込むような扱いは好ましくありませんが、竹の表面は漆などのコーティングがかけられているため、サッと水洗いする程度は問題ありません。注意点として、竹の内側には漆はかけられておりませんので、竿内部への浸水は好ましくありません。水洗いをする際は竿を継いだ状態で行いましょう。水洗い後は直射日光を避けて陰干してください。

Q:定期的なメンテナンスは必要でしょうか。
A:一年に一度メンテナンスに出すことがおすすめです
シーズン終わりに当社にメンテナンスに出していただくことで、竿の状態がチェックできます。また、火入れという職人技術で竹を加熱することで、竿の曲がりもほとんど元通りに回復します。※火入れは竿師にとっても最も難易度の高い作業です。個人での火入れは推奨できません。

もしも破損してしまった場合にも修理が可能ですので、ご相談ください。

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