和竿の扱い方に関する基本をご紹介。 「扱い方やメンテナンスが不安だ」という方に。 実は神経質になることは多くありません。最低限のルールだけ守れば、他の素材と同様に扱っていただけます。
扱うときは、竿全体に力が分散されるように意識しよう
どんな素材の竿でも同じですが、和竿も破損事故No.1は、穂先がパキっと折れること。これは、穂先の一箇所に力をかけることで発生するトラブルです。そしてそのほとんどが事故によって起こります。逆に、通常の釣りの中で破損することは滅多にありません。
そんな事故をなくすために一番大切なことは、
【穂先などの、一箇所に力がかかってしまうことを避けること。】
そのことだけ理解しておけば、最低限の扱い方はわかったも同然です。
【準備編】和竿の継ぎ方
🔳和竿を継ぐ際は、穂先から
和竿は穂先・穂持ち(2番目)と、先から順に継ぎましょう。
これも、誤って穂先の一箇所に力が加わらないようにするためです。手元から継ぐと、最後に穂先を継ぐ瞬間に竿全体の重さがかかり、事故に繋がる場合があります。
🔳竹の芽が左右交互になるように継ぐ
竹には芽があります。この芽は自生している時には左右交互に生えており、自然状態と同じにしてあげることが竹の強度を最も高めます。竿を継ぐ際は、芽が左右交互になるように継ぎましょう。また、継ぎ口の部分はできるだけ奥までしっかり差し込みましょう。
芽が間違っていたり、継ぎ口が差し込めていなかったりすると、その部分に捻れや過度な負荷が生じて破損につながる場合があります。
穂先から順に、奥までしっかり入れましょう
【釣り方編】和竿のしならせ方
🔳竹全体をしならせる事を意識してやりとりをする
魚をかけたら竹全体に重さを乗せるように扱うことで、竿のシナリを最大限に活かすことができます。手首だけを返したり、足元の魚を"引っこ抜く"ような曲げ方には注意が必要です。
腕のポジションを高く上げたり、やや頭の後ろに手元を持ってくるようなイメージをすると良いでしょう。
余談ですが、漫画「釣りキチ三平」で、三平は釣った際に天高く竿を突き上げます。これは和竿の扱い方としては理にかなっているのです。(すごい)
竿全体を使ってやりとりをしましょう。腕のポジションを高く上げたり、やや頭の後ろ側にするイメージです。
【釣後編】仕舞い方、メンテナンス
🔳仕舞うときは手元から
竿を仕舞う際は手元から順に外していきます。キツくなった継ぎ目を外す際には継ぎ目の近くを押さえ、ねじらずに真っ直ぐ抜くのがポイントです。
🔳曲がりはある程度自然に戻ります
和竿は釣り方や釣った魚の影響で穂先に曲がりが入る場合があります。ある程度は竹の形状記憶によって元に戻ります。和竿に限らずフライのバンブーロッドでも同様ですが、自然由来のため多少の曲がりは取れない場合がありますが、釣り味に影響はほとんどありません。
🔳水洗いについて
特に海水などがついた場合は水洗いをしましょう。水に漬け込むような扱いは好ましくありませんが、竹の表面は漆などのコーティングがかけられているため、サッと水洗いする程度は問題ありません。注意点として、竹の内側には漆はかけられておりませんので、竿内部への浸水は好ましくありません。水洗いをする際は竿を継いだ状態で行いましょう。水洗い後は直射日光を避けて陰干しをするのがベストです。
🔳余裕があれば、定期的にメンテナンスに出すことがおすすめです
シーズン終わりにはメンテナンスに出すことで、竿の状態がチェックできます。また、火入れという職人技術で竹を加熱することで、竿の曲がりもほとんど元通りに回復します。
※火入れは竿師にとっても最も難易度の高い作業です。個人での火入れは推奨できません。
火入れの風景。曲がり癖がついた場合も、火入れをするとほとんど元通りになります。
もしも破損してしまったら
和竿は全てが職人の手仕事によって作られているため、基本的にどんな修理でも可能です。万が一折れてしまった時は諦めず、ぜひお問い合わせください。
「修理ってのは、元の状態より良くすること」と江戸和竿理事の竿中さんは言っていました。使い込むほどに良くなっていく。たとえ壊れてもそれ以上になる。和竿という道具は修理さえも楽しんでいただけます。
以上和竿の扱い方の基本でした。
1本ずつ異なる竿の特性を身体に馴染ませながら、ぜひご自身の釣りスタイルを竿と一緒に探してみていただければ幸いです。