江戸和竿の世界における、多種多様な竿の手引書
本作は一作目、二作目と異なり、江戸和竿の世界における釣竿の種類やセオリーを説明する手引書である。これまで竿師に想いを馳せてきたが、そもそも竿のことを知らないぞ・・・?と感じたそんな読者にぴったりである。
真鮒竿に始まり、タナゴ竿、渓流竿、清流竿、など、江戸和竿は対象魚ごとに竿が細かく分かれている。一方同じ種類の竹を使用する竿も多く、その違いは一見してわかりづらい。本書を読み進めることで、そのセオリーがわかるとともに、それが機能による差分なのか、文化的な差分なのかを理解することができるようになる。

慣習の奥に見え隠れする遊び心
真鮒竿のページで、面白い一節を見つけた。
「真鮒竿はヘチでの小物釣りにも良い」
対象魚ごとに細かく種別分けをしている江戸和竿だが、そのイメージとは裏腹に真鮒竿を海でも使えることを認めているのだ。WAZAO-IPPONでは、本来の用途を超えて様々なシーンに和竿を持ち出すことが多い。意外と使えることや、新しい釣り味を発見することが多く、つい先日も漁港でヘチの探り釣りで真鮒竿を使用していた。(30cmを超えるクロダイを釣り上げた。30年も前の竿だったが強度は十分。最高のシナリを見せてくれた。)
そんな使い方を、実は過去の人々もしていたのか!と衝撃を受けるとともに、和竿の世界の慣習的な側面と、その裏にある遊び心を感じられた気がした瞬間であった。本来の文脈を知っているか否かは重要な違いだ。ただ、その上でちょっと無理して遊んでみるような事を、これまでの竿師や釣り人たちも行ってきたのだ。江戸和竿のルールを教えてくれると共に、そこにある江戸和竿の自由さも伝えてくれる一冊である。





